はじめに
ユーザー車検は「事前に準備すれば意外と簡単」と言われることも多いですが、実際の検査ラインではちょっとした見落としが原因で再検査になるケースを数多く見てきました。
特に多いのは、重大な故障ではなく
👉 「知らなかった」「確認していなかった」だけの整備不良です。
この記事では、実際に現場でよく遭遇するユーザー車検で見落とされがちな整備不良8つと、なぜそれが不合格になるのかを整備士目線で解説します。
結論|ユーザー車検で落ちる原因は「整備不足」より「確認不足」
ユーザー車検で再検査になる多くの原因は、致命的な故障ではありません。
点検整備そのものよりも、
👉 事前確認が甘かっただけ
👉 「これくらい大丈夫だろう」という思い込み
によって不合格になるケースが非常に多いのが実情です。
ユーザー車検で見落としがちな整備不良8選
ここからは、実際に検査ラインや入庫車両でよく見かける「見落としがちな整備不良」を具体的に紹介します。
- ブレーキランプの左右差・不点灯
- HIDヘッドライトの色変化
- ワイパーゴムの劣化
- ナンバー灯・車幅灯の不点灯
- 下回りのオイル滲み・漏れ
- サイドブレーキの制動力不足
- 警告灯の常時点灯
- マフラーの排気漏れ
上記の整備不良は、実際の現場で本当によくある8つです。
それぞれの整備不良については以下で詳しく説明していきます。
1|ブレーキランプの左右差・不点灯(社外ランプは特に注意)
ブレーキランプは点灯していればOKと思われがちですが、社外バルブを使用している場合は左右差で不合格になるケースがあります。
実際によくあるケース
- 社外のブレーキランプバルブを装着
- 片側だけ球切れ
整備工場での実際の対応(社外品の場合)
- 同じバルブがすぐに入手できない
- 光度・色味の差による再検査を防ぐため
👉 純正品、または純正同等の光度のものに左右同時交換
ここが重要(純正バルブとの違い)
- もともと装着されている純正バルブであれば、片側交換でも問題ありません。
- 問題になりやすいのは
👉 社外LED・社外バルブ装着車です。
対策
- 社外LED装着車は特に左右差を確認
- 社外バルブ使用時は左右同時交換が安全
- 純正バルブなら球切れ側のみ交換でOK
灯火類はブレーキランプ以外にも確認すべきポイントがあります。
車検前に自分でチェックできる項目については、こちらの記事で初心者向けにまとめています。
2|HIDヘッドライトの色変化(赤・ピンク色に見える)
HIDヘッドライトは点灯していれば問題ないと思われがちですが、色味の変化は要注意です。
なぜ落ちる?
- 点灯直後は白く見えても
👉 しばらくすると赤っぽく発光することがある
これは何が原因?
- HIDバルブ内部の劣化
- 整備現場では
👉 寿命、または寿命が近い状態と判断するケースがほとんど
HIDや光度など、車検で使われる用語は少し分かりづらい部分もあります。よく使われる車検用語については、こちらで初心者向けに解説しています。
重要ポイント
- 検査時に赤っぽく見えれば不合格になる可能性が高い
- 「今は点いている」は通用しません
対策
- 色味に違和感が出た時点でバルブ交換
- 左右同時交換が基本
3|ワイパーゴムの劣化(拭きムラ・ビビり)
雨が降っていなくても、ワイパーは検査対象です。
よくある勘違い
- ゴムが切れていないからOK
- ほとんど使っていないから大丈夫
実際の判断
- 拭きムラやビビり音があれば不合格になることがあります。
対策
- 車検前にワイパーを作動させて確認
- 不安なら事前交換(数百円で済む)
4|ナンバー灯・車幅灯の不点灯
昼間の検査では特に見落とされやすい項目です。
よくある原因
- 自分で球交換したが、接触不良で点灯していない
- 気づかないまま検査ラインへ
検査官は必ず確認します
- 昼間でも灯火類はチェック対象
- 点いていなければ即NG
灯火類はナンバー灯以外にも見落としやすいポイントが多くあります。
DIYで確認できる項目については、こちらの記事も参考にしてください。
対策
- 車検前夜に全灯チェック
- ブレーキ・スモール・バックランプまで一通り確認
5|下回りのオイル滲み・漏れ
オイルがポタポタ垂れていなくても、不合格になるケースはあります。
検査官が見るポイント
- エンジン下
- ミッション・デフ周り
よくある誤解
- 少し滲んでいるだけだから大丈夫
→ 状況によってはNG判断されます。
オイル滲みが問題になるかどうかは、過去の整備状況によって判断が分かれることもあります。整備記録簿の見方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
対策
- 事前に下回りを目視確認
- 滲みが広がっている場合は整備が必要
6|サイドブレーキの制動力不足(引き代OKでもNG)
ユーザー車検で意外と多い再検査原因がサイドブレーキです。
なぜ落ちる?
- 引き代は正常でも
👉 制動力の数値が足りないケース
サイドブレーキが原因で再検査になるケースは、ユーザー車検では特に多い項目です。
実際に多い不合格例については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
実際に多い原因
- ワイヤーの伸び
- ドラムブレーキ内部の摩耗・固着
- 長期間未調整
重要ポイント
- 検査ラインでは数値不足=即不合格
- 調整で済む場合もあるが、摩耗が進んでいると部品交換が必要
対策
- 坂道での効き確認
- 効きが甘ければ事前に点検・調整
7|警告灯の常時点灯(ABS・エンジン・エアバッグ)
警告灯が点灯したままの車両は、基本的に車検に通りません。
警告灯が点灯した状態でユーザー車検を受けると、ほぼ確実に再検査になります。再検査になる具体的なケースについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
実際によくある警告灯
- ABS警告灯
- エンジンチェックランプ
- エアバッグ警告灯
多い原因
- バッテリー弱りではなく
👉 OBD系エラーやセンサー異常 - 原因箇所の修理・部品交換が必要なケースがほとんど
注意点
- 一時的に消しても意味はない
- 原因修理なしでは不合格
対策
- 事前に警告灯の有無を必ず確認
- 点灯していれば整備工場で診断・修理が必要
8|マフラーの排気漏れ(気づいていない人が多い)
マフラーの排気漏れは、本人が気づいていなくても検査では不合格になる代表的な項目です。
なぜ落ちる?
- 排気漏れは
👉 騒音検査・排ガス検査に影響
👉 下回り目視で指摘されることも多い
ユーザーが見落としやすい理由
- 音が少し大きいだけ
- 下回りを覗かない
- 古い車ほど「こんなもの」と思いがち
実際に多い原因
- マフラーの腐食・穴あき
- フランジ部のガスケット抜け
マフラーの腐食や排気漏れは、車検整備の現場でもよく見かける不具合です。実際に車検整備で多い不具合については、こちらの記事でも紹介しています。
対策
- 始動時に「ボボボ…」という異音がないか確認
- 排気音が以前より大きくなっていないか
- 不安なら下回り点検を受ける
👉 「本人は気づいていなくても、検査官は一瞬で分かる」
再検査になる人の共通点
再検査になる人には、いくつかの共通点があります。
- ネットの「簡単に通る」という情報だけを信じている
- 前日チェックをしていない
- 光軸やブレーキだけ見ておけばOKと思っている
ユーザー車検は、準備すれば通りますが、油断すると簡単に落ちます。
ユーザー車検前に最低限やるべきチェックリスト
最低限、以下の項目は必ず確認してから検査に向かいましょう。
- 灯火類の全点灯確認
- ブレーキ(足・サイド)の効き
- ワイパー作動状態
- タイヤの状態
- 下回りのオイル漏れ確認
これだけでも、再検査リスクは大きく下げられます。
まとめ
ユーザー車検は「簡単」でも「適当」で通るものではありません。
再検査になる多くの原因は、
👉 知らなかった
👉 確認していなかった
それだけです。
今回紹介した8項目を事前に押さえておけば、ユーザー車検で無駄な手間や再検査を避けることができます。
※本記事は、指定整備工場での実務経験をもとに執筆しています。

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