はじめに
「車検って、事前に何をチェックすればいいの?」
「どこで落ちるのか分からないから不安…」
実は、車検で不合格になる原因の多くは重大な故障ではありません。ほとんどが「事前に見れば分かったもの」です。
指定整備工場で実務をしていると、分解に入る前の“受け入れ点検”の段階で、「これは追加整備出そうだな」と分かる車両が一定数あります。
この記事では、整備士が検査前に必ず確認している車検の事前チェック項目10選を実務目線で解説します。
結論|車検で落ちる原因の多くは事前チェック不足
車検で不合格になる多くのケースは、
壊れていたではなく 確認していなかったというパターンです。
整備士は、分解する前の段階でかなりの情報を拾っています。
つまり、ユーザーでも事前に気づける可能性があるということです。
整備士が検査前に必ず確認する事前チェック項目10選
これらは、実際に整備士が分解作業に入る前の“受け入れ点検”で必ず確認している項目です。
① 灯火類の全点灯確認(ブレーキ・ナンバー・車幅灯)
まず最初に見るのが灯火類です。
- ブレーキランプ左右差
- ナンバー灯不点灯
- 車幅灯切れ
昼間は気づきにくいですが、検査では必ず確認されます。
- 社外LED装着車は左右差で落ちやすい
- 特にナンバー灯は見落とし常連
対策:前日夜に全灯チェック
自分でできる灯火類チェックは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→【車検前にやっておくべきセルフチェック7選】
② ワイパー作動確認
ゴムが切れていなくても、拭きムラやビビり音で不合格になることがあります。
検査ラインでは実際に作動確認されます。
対策
事前に作動テスト、不安なら交換。
特にユーザー車検を受けようとしている場合はゴム切れ,拭きムラなどがないかしっかり準備をしておくことをおすすめします。
③ ブレーキテスターの数値(制動力・左右差)
受け入れ時、まず検査機器で制動力を確認します。
ここで数値が悪いと、以下のような原因が考えられます。車検に通すためには、これらの原因を修理し、数値を基準内に戻す必要があります。
| テスター異常 | 考えられる原因 | 交換・修理例 |
|---|---|---|
| 制動力不足 | エア噛み・フルード漏れ | フルード交換、ブレーキパイプ交換 |
| 左右差大 | パッド偏摩耗・キャリパー固着 | パッド交換、キャリパーOH |
| サイドブレーキ不足 | ライニング摩耗・ワイヤー伸び | ワイヤー調整、シュー交換 |
数値は嘘をつきません。
おおよその原因を予想することで、効率よく作業を進めることができます。
④ サイドスリップ(足回りのズレ)
数値が基準外だと、「どこかおかしい」と判断します。
サイドスリップが基準外になる原因例として、
- タイロッドエンド摩耗、
- ロアアームブッシュのガタ
- 事故歴によるズレ
などがあります。
放置するとタイヤ偏摩耗や操縦安定性低下につながります。
⑤ タイヤ溝・ヒビ割れ
タイヤ溝が1.6mm以上でも、
- ひび割れが多い
- 偏摩耗している
と検査員判断でNGになることもあります。
特に製造から5年以上経過したタイヤは、溝があってもゴム硬化やひび割れで指摘されやすいため注意が必要です。
実際に、私は溝が6mm残っていたにもかかわらず、雨の日にヒヤッと滑った経験があります。
タイヤの製造年の見方や、年数劣化の実例については、こちらの記事で写真付きで解説しています。
→【タイヤ溝6mmでも滑る?製造年の見方と劣化の実例】
⑥ 下回りのオイル滲み・漏れ
ポタポタ垂れていなくても、状況次第でNGです。NGの場合、修理しないと車検には受かりません。
- エンジン
- ミッション
- デフ周り
滲み拡大中の車は要注意。駐車していて車体の下の地面に油染みが付いている場合などは、早めの修理をおすすめします。
⑦ 警告灯の点灯
- ABS
- エンジンチェック
- エアバッグ
など、警告灯が点灯したままでは車検に通りません。
一時的に消しても意味はありません。車検を通すためには原因修理が必要です。
ユーザー車検で落ちる代表例は、こちらでも詳しく解説しています。
→【ユーザー車検で見落としがちな整備不良8選】
⑧ 排気音・排気漏れ
始動時に「ボボボ…」という音がする車。
- マフラー腐食
- フランジガスケット抜け
検査員はすぐ気づきます。
⑨ 発煙筒の期限
地味ですが、検査対象です。
期限切れで指摘されるケースは珍しくありません。実際に多くの検査員は発煙筒の有効期限を確認します。
ただし、その場で交換すれば基本的に再検査にはなりません。
⑩ 書類・車台番号確認
- 車検証
- 自賠責
- 納税証明
ここで止まる人もいます。車検証や自賠責保険証書の紛失も実際に多いです。事前に書類の確認をしてから車検を受けましょう。
整備士が「これは追加整備出るな」と感じる瞬間
受け入れ段階の数値や状態から、追加整備が必要になる車両には共通するサインがあります。
受け入れ時に分かる典型例
- ブレーキ左右差が大きい
- サイドスリップ数値異常
- タイヤ溝ギリギリ+ヒビ多数
分解すると、やはり摩耗や固着が進行していることが多いです。
こんな人は“事前見積もり相談”がおすすめ
いきなり車検満了直前に出すより、事前に見積もり相談した方がいいケースがあります。
- 前回車検から走行距離が急増した
- 10万km前後で初めて入庫する
- 過走行ジムニーなど足回り負担が大きい車
実際に、前回車検から4万km弱走行した車で、フロントガタ → キングピン・シャフト交換になり高額車検になるケースもあります。
「今までほとんど部品交換なし」で来た車は、10万km前後で一気に消耗品が出ることも珍しくありません。
👉 高いか安いかの前に
👉 今どんな状態なのかを知ることが重要
納得できない場合は、相見積もりを取るのも選択肢です。
まとめ|車検は“ぶっつけ本番”が一番危険
車検で落ちる人の多くは、
- 知らなかった
- 確認していなかった
これだけです。整備士は、分解前の段階でかなりのリスクを見抜いています。
だからこそ、車検満了ギリギリに出すのではなく余裕を持って事前チェックや見積もり相談をすること。
それが結果的に、
- 再検査を防ぐ
- 不必要な高額整備を避ける
- 本当に必要な整備に納得してお金を使う
ことにつながります。
実際にどんな項目で落ちるのか、再検査はどうなるのかを詳しく知りたい方は、
→【ユーザー車検で不合格になる原因とは?整備士が教える失敗例と再検査ルール】も参考にしてください。
車検前日にこの記事の10項目をチェックしてから車検に出してください。それだけで、不合格のリスクは大きく減らせます。
今後、車検見積もりの比較や判断基準についても別記事で詳しく解説しくつもりでいます。
それだけで、車検の安心度は大きく変わります。
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