はじめに|車検は「どれが正解か」ではなく「どれが向いているか」
車検と聞くと、
- ディーラーは高い
- 民間車検は当たり外れがある
- ユーザー車検は安いけど不安
このようなイメージを持っている方は多いと思います。
私は現在、指定工場で整備士として働いています。これまでに、ディーラー車検・民間車検・ユーザー車検、それぞれを現場で見てきました。
また、整備だけでなく車検内容を説明し、見積もりを出す営業側の立場も経験しています。
その立場から断言できるのは、
車検に「一番良い方法」はありません
あるのは「その人に向いているかどうか」だけです
この記事では、ディーラー車検・民間車検・ユーザー車検の違いを整理しながら、後悔しにくい車検の選び方を現役整備士の本音で解説します。
まず結論|3つの車検の違いを一言で言うと
安心を取るならディーラー、コスパ重視なら民間、知識と手間をかけられるならユーザー車検。ただし、どれが優れているかではなく、自分の状況に合っているかで選ぶことが重要です。
| 比較項目 | ディーラー車検 | 民間車検(指定・認証) | ユーザー車検 |
|---|---|---|---|
| 費用感 | 高め | 中 | 最安 |
| 安心感 | 非常に高い | 工場による | 自己責任 |
| 整備の自由度 | 低い(純正中心) | 高い(社外・中古可) | 自分次第 |
| 手間 | 少ない | 少ない〜普通 | 多い |
| 向いている人 | 新車・安心重視 | バランス重視 | DIY・節約派 |
あくまで目安であり、実際の費用や内容は車の状態や工場によって異なります。以降では、それぞれの車検について整備士の立場から詳しく解説します。
ディーラー車検とは?特徴と向いている人
ディーラー車検とは、メーカー系列の販売店で行う、信頼性と安心感を重視した車検です。車に詳しくない方でも、「お任せで安心」というのが大きなメリットです。
その分、費用は高めになりやすい点は理解しておく必要があります。
ディーラー車検の特徴
- メーカー基準に沿った点検・整備
- 純正部品の使用が基本
- 整備記録・履歴が明確
- 費用は高めになりやすい
ディーラー車検が向いている人
ディーラー車検は、次のような方に向いています。
- 新車〜5年以内の車に乗っている方
- 車の知識に自信がない
- トラブルを極力避けたい
- 費用より安心感を重視したい
特に新車~5年以内の車に乗っている方は、ディーラー車検のメリットを受けやすい傾向があります。
新車保証期間内であれば、部品によっては保証修理が適用されるケースがあります。
実際に私がディーラー勤務をしていた頃、初回車検(3年目)でフロントハブベアリングに異音が見つかり、保証修理になったこともありました。
ただし注意点として、3年の一般保証と違って5年の特定保証は対象部品が限られます。そのため「何でも保証される」わけではありません。
この点を正しく理解しておくと、後で不満が出にくくなります。
なお、ディーラー以外で購入した新古車などの場合、メーカー保証を受けるため「保証継承」が必要になるケースがあります。
この手続きはディーラーでの点検が条件になることが多いため、中古車購入時は事前に確認しておくと安心です。
現役整備士の本音|なぜ交換点数が多くなりやすいのか
予防整備については、【12ヶ月点検は意味ない?】の記事で詳しく解説しています。
ディーラー車検では、
- 次の車検まで安心して乗れる状態
- トラブルを未然に防ぐ予防整備
を重視する傾向があります。
そのため、
- 「まだ使えるが、次までもつか微妙」
- 「今のうちに交換した方が安心」
という理由で、整備項目が多くなりがちです。
私個人としては、予防整備は車を長く安心して乗るためには必要な考え方なので賛成です。
しかし、費用を抑えたい方にとっては「多い」と感じることもあります。
民間車検(指定・認証工場)とは?特徴と注意点
民間車検は、ディーラー以外の整備工場で行う車検です。内容と費用のバランスが取りやすいのが特徴です。ただし、整備内容や対応の質は工場ごとの差が大きいため、選び方が重要になります。
民間車検の特徴
- ディーラーより費用を抑えやすい
- 工場ごとに整備方針の違いがある
- 指定工場なら自社で検査が可能
民間車検が向いている人
以下に当てはまる方は、民間車検(指定・認証工場)が向いているといえます。
- 費用と安心のバランスを取りたい
- 整備内容をきちんと説明してほしい
- 長く付き合える工場を見つけたい
指定工場の整備士として正直に言うと
民間車検の強みは、整備の自由度にあります。ディーラーのような使用する部品に縛りが少ないため、
- 純正部品
- 社外品
- 中古部品
- リビルト部品
など、予算や使い方に合わせた部品選択が可能です。
一方で、民間車検は工場による差が大きいのも事実です。
- 説明が具体的か
- 不要な整備を無理に勧めないか
- 質問しやすい雰囲気か
こうした点を見極めることが重要になります。
ユーザー車検とは?誤解されがちな実態
ユーザー車検は、自分で陸運局に車を持ち込んで受ける車検です。
検査に通すこと自体は難しくありませんが、事前点検や整備を省くと不合格やトラブルにつながることもあります。
ユーザー車検の仕組み
- 法定費用のみで済むため最安
- 整備は基本的に自己責任
- 不合格の場合は再検査が必要
「とにかく安く済ませたい」「ユーザー車検を試してみたい」という方に人気があります。
ユーザー車検が向いている人
- ある程度の軽整備ができる
- 平日に時間を取れる
- 再検査や手間を苦にしない
この条件を満たす方であれば、一度チャレンジしてみるのも選択肢です。
現場目線で見たユーザー車検の誤解
よくある誤解が、
車検に通った=安全な車
という考え方です。
車検はあくまで、検査の時点で最低限の基準を満たしているかを確認するものです。
すべての不具合を見つける検査ではありません。
実際に、
【ユーザー車検で不合格になる原因とは?】
でも解説していますが、灯火類や下回りなどで不合格になる方は少なくありません。
結局どれを選べばいい?タイプ別おすすめ
大切なのは、「自分がどこまで車に関われるか」を正直に考えることです。
車検は安さだけで選ぶものではなく、関わり方に合った方法を選ぶことが後悔しないポイントになります。
実際の車検整備でよく見つかる不具合については、【24ヶ月点検で実際に見る不具合ランキング】でまとめています。
- 車に詳しくない・家族優先(安心感重視)
→ ディーラー車検 or 信頼できる民間車検 - 費用と安心を両立したい
→ 民間車検(指定工場) - コスト最優先・DIY派(一度チャレンジしてみたい方)
→ ユーザー車検
整備士として伝えたい|後悔しない車検の考え方
納得できる説明を受けられるかどうかこれが、後悔しない車検の一番のポイントです。
高いから安心、安いから危険、という単純な話ではありません。
車検で後悔する方の多くは、
- 安さだけで選んだ
- 内容を理解しないまま進めた
このどちらかです。
車検は安心安全のための大切なプロセスです。あなたが一番納得できる形で受けましょう。
まとめ|車検に正解はないが、判断軸は持てる
- 車検方法に優劣はない
- 正解は人によって変わる
- 判断軸を持てば後悔しにくい
この記事が、あなたにとって「車検を選ぶ基準」になれば幸いです。
※本記事は、指定整備工場での実務経験をもとに執筆しています。

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