車検というと
「通る・通らない」
「費用はいくらか」
に目が向きがちですが、実際の現場では24ヶ月点検(車検整備)こそが本体です。
私は指定整備工場で日常的に車検整備を行っていますが、正直なところ 不具合が出る箇所は毎回ある程度決まっています。
この記事では、24ヶ月点検で実際によく見かける不具合をランキング形式で解説します。
- 車検で何を指摘されやすいのか
- なぜその部分が多いのか
- 放置するとどうなりやすいのか
を、現役整備士の目線でまとめました。
なお、24ヶ月点検では「整備すれば通る」「そのままでは車検に通らない」など、判断が分かれやすい項目も多くあります。
実際の車検で通る・通らないの境界線については、こちらの記事で詳しく解説しています。
24ヶ月点検(車検整備)で不具合が出やすい理由
24ヶ月点検は、日常点検や12ヶ月点検と比べてチェック項目が多く、分解を伴う点検も含まれます。
また、
- 走行距離が一気に伸びる
- 消耗品の寿命が重なりやすい
- 普段は見えない部分まで確認する
といった理由から、「問題が表面化しやすいタイミング」でもあります。その結果、毎回似たような不具合が見つかるのです。
さらに24ヶ月点検で不具合が多く見つかる理由のひとつは、日常点検や12ヶ月点検を受けていない車が多いことです。
「12ヶ月点検は意味がない」と思われがちですが、実際には車検時の追加整備を減らす役割もあります。
▶︎【整備士が本音で解説】12ヶ月点検は意味ない?やらないと起きるトラブル
第1位:ブレーキ関連(パッド・ディスク・引きずり)
24ヶ月点検で最も多いのがブレーキ関連です。
よくある指摘内容
- ブレーキパッド残量不足
- ブレーキディスクの摩耗
- キャリパー固着による引きずり
なぜ多いのか
- タイヤを外さないと確認できない
- 走り方・使用環境で減り方に差が出る
- 自分ではチェックしづらい
特に引きずりは、本人が気づかないまま進行しているケースも少なくありません。
その結果、ブレーキパッドが常にディスクに当たり続け、気づいたときにはパッドやディスクが異常摩耗しているケースもあります。
放置すると
- 制動力低下
- 異音・振動
- 燃費悪化やブレーキ過熱
安全面に直結するため、車検時に指摘されやすい代表例です。
多くの場合、ブレーキを踏んだときの異音で気づきますが、その時点ではすでにパッドの摩耗インジケーターがディスクに当たっているケースがほとんどです。
第2位:タイヤ(残り溝・ひび割れ・偏摩耗)
タイヤも車検整備で非常によく引っかかります。
車検では安全基準として溝の深さが重視されるため、残り溝が十分にあるつもりでも不合格になるケースがあります。
実際の交換判断については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶︎【整備士が解説】スタッドレスタイヤは何mmで交換?
よくあるケース
- 溝はあるがひび割れが進行している
- 偏摩耗(内減り・外減り)
- スリップサイン間近
「溝はまだあるから大丈夫」と思われがちですが、ひび割れなどのゴムの劣化は見落とされやすいポイントです。
なぜ多いのか
- 年数劣化は走行距離に関係なく進む
- 空気圧管理やアライメントの影響を受けやすい
特に24ヶ月点検では「安全に使えるかどうか」が厳しく見られます。
第3位:バッテリー劣化(車検は通るがトラブルになりやすい)
ここは現場目線でかなり重要な項目です。車検には通ることが多い一方で、車検後のトラブルやクレームにつながりやすいからです。
車検では通ることが多い
- 電圧が基準内
- エンジン始動に問題なし
この状態であれば、車検項目上は不合格にならないケースがほとんどです。
それでも問題になる理由
車検後にバッテリー上がりを起こすと、
ユーザーからこんな声が出やすくなります。
- 「車検受けたばっかりなのに」
- 「点検したんじゃないの?」
整備内容が正しくても、感情的な不満がクレームにつながりやすい部分です。
現場のリアルな事情
- バッテリー価格は
約1万円前後〜3万円以上 - 金額を伝えると空気が変わることも多い
- その結果、
「今回は交換しなくていいです」となるケースも少なくありません
しかし実際には、弱っている状態で使用を続ければトラブルは起きやすいです。
私の対応スタンス
私は車検時、バッテリーテスターで状態を確認しています。バッテリーが弱っていれば必ず電話で説明します。
- 今すぐ交換が必要か
- 様子見でも良い状態か
を伝えた上で、最終判断はお客様に委ねるようにしています。
事前説明があるかどうかで、車検後のトラブル対応は大きく変わります。
第4位:足回りのゴム部品(ブーツ・ブッシュ)
足回りのゴム部品も、24ヶ月点検では定番です。足回りにガタが出ていると、サイドスリップテスターの数値が基準を超え、車検不合格になることもあります。
よく指摘される部品
- ロアアームブーツ
- タイロッドエンドブーツ
- スタビリンク
なぜ気づかれにくいのか
- 走行中の違和感が出にくい
- 見ないと劣化が分からない
切れや破れが進行すると、車検不合格になる可能性が高い部位です。
第5位:オイル漏れ・にじみ
オイル漏れも24ヶ月点検ではよく見つかります。軽いにじみであれば車検に通るケースもありますが、放置すると漏れに進行し、次回車検では不合格になることもあります。
多い箇所
- エンジン周り
- デフ
- トランスミッション
ポイント
- にじみ程度なら即NGではない
- ただし放置すると漏れに進行し車検アウトになる
「今は通るけど、次は怪しい」と説明されるケースが多い項目です。
まとめ|車検前に知っておくだけで不安は減らせる
24ヶ月点検で見つかる不具合は、ある程度パターンが決まっています。
実際の車検現場では、ブレーキやタイヤに加えて、走行距離に応じて補器ベルトやスパークプラグといった消耗品が重なり、結果的に高額になるケースも多いです。
- 突然の高額請求の多くは消耗の積み重ね
- 事前に知識があれば冷静に判断できる
- 整備士からの説明内容も理解しやすくなる
車検は「通すための作業」ではなく、次の2年間を安全に乗るための点検です。
ちなみに点検時に交換を勧められやすい部品の中には、すぐに交換しなくても問題ないケースと、確実に交換すべきケースがあります。
→【現役整備士が解説】車検整備でよくある勘違い交換必須と言われがちな部品、本当に必要?
この記事が、車検に対する不安を減らす参考になれば幸いです。
※本記事は、指定整備工場での実務経験をもとに執筆しています。
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