はじめに
車検費用を少しでも安くしたいと「ユーザー車検」に挑戦する方は増えています。
自分で持ち込めば数万円単位で節約できる一方、準備不足や思わぬトラブルで「不合格」になることも少なくありません。
現役整備士の私から見ても、「ここで落ちる人が多いな」と感じるポイントはいくつかあります。
この記事では、ユーザー車検でよくある不合格原因、実際の失敗談、再検査ルール、そしてプロ視点での事前対策まで詳しく解説します。
ユーザー車検とは?安く済む理由と注意点
ユーザー車検は、車の持ち主が自分で陸運支局に車を持ち込み、車検の検査を受ける制度です。
メリット
- ディーラーや工場に依頼するより安い
- 車の状態を自分で把握できる
- 車好きにとっては経験として面白い
デメリット
- 準備不足だと不合格になりやすい
- 整備や調整が必要な場合は自分で対応しなければならない
- 工具や部品を持っていないと、その場で直せない
つまり「節約できるけど、ある程度の知識や準備が必要」という制度です。
ユーザー車検でよくある不合格ポイント
私の経験上、以下の項目で落ちる方が多いです。
| ヘッドライト(光軸・光量) | 一番多い落とし穴。光軸がズレていたり、ライトが暗いと不合格になります。 |
|---|---|
| ブレーキの効き具合 | 車検場のブレーキテスターで数値が基準に満たないとNG。 |
| タイヤの状態 | 溝が1.6mm未満、ひび割れや劣化も不合格。 |
| 小物類 | 発炎筒の期限切れ、ワイパーゴムの劣化、ウォッシャー液切れなど。 |
特に ヘッドライトの光軸 はDIYで調整が難しいため、車検前に「前検査(テスター屋)」を利用してチェックしておくのがおすすめです。
テスター屋は車検場の敷地内や近隣にあり、数千円程度で光軸の調整や光量チェックを行ってくれます。これにより、本番で不合格になるリスクを大幅に減らせます。
実際にあったユーザー車検の失敗談
ここで、実際にあったケースを紹介します。
ヘッドライトの光量不足で再検査
仲の良い修理工場の方の話ですが、持ち込み車検でヘッドライトが暗く不合格になったケースがありました。
対処としては、
- ヘッドライトレンズを磨く
- バルブを新品に交換
で合格できましたが、それでも光量が足りなければライト本体(ASSY)の交換が必要になることも。
プロ目線のアドバイス
光軸や光量はDIYでの調整が難しいので、前検査を活用して事前にチェックしておくと安心です。
トラックで急なランプ切れ
別のケースでは、トラックをラインに並べている最中にストップランプが突然切れてしまい不合格。
しかし、この方はあらかじめスペアのバルブを持っていたため、その場で交換して合格しました。
ポイント
車検時はストップランプやウィンカーなどのバルブを予備で持参しておくと、突発的なトラブルにも対応可能です。
ユーザー車検の再検査ルールを理解しよう
「もし落ちたら全部やり直し?」と不安になる方も多いですが、実際には次のようになっています。
- 15日以内に再検査を受ければ、不合格箇所だけの確認でOK
- 15日を過ぎると、再度すべての検査を受け直し
つまり、不具合を直したら早めに再検査に行くのがベストです。
事前に工場点検を受けるメリット
私のお客様の中には、毎回ユーザー車検を自分で通している方がいます。
ただ、その方は必ず 事前に当社で「1年点検」を受けてから車検場へ 行っています。
これにより、整備不良による不合格リスクを減らしつつ、費用も抑えられます。
完全に自分だけで挑戦するのは不安という方は、「工場点検+ユーザー車検」のハイブリッド方式がおすすめです。
FAQ例
- 車検に通らなかった場合、再検査は費用がかかる?
-
検査当日中の再検査は無料です。不合格箇所を整備して再度検査に持ち込めばOKです。
- ヘッドライトの光軸は自分で調整できる?
-
車種によってはDIYで可能ですが、精度を出すのは難しいです。テスター屋で事前に確認してもらうのが確実です。
- ランプ類の交換は難しい?
-
ブレーキランプやナンバー灯などは車種によっては工具不要で10分程度で交換可能です。スペアバルブを持参しておくと安心です。
- 工場点検を受けてからユーザー車検に行くメリットは?
-
事前に不具合箇所を見つけられるので、車検場での不合格リスクを減らせます。指摘された箇所がDIY整備可能なら、費用も抑えられます。
まとめ|安さだけでなく安全性も意識して
ユーザー車検は費用を抑えられる便利な制度ですが、準備不足だと不合格のリスクがあります。
- ライトは落とされやすい → 前検査(テスター屋)で確認
- スペアバルブなどを持参しておくと安心
- 再検査は15日以内なら不合格箇所だけでOK
- 不安なら「工場点検+ユーザー車検」の方法も有効
節約と安全のバランスを意識して、ユーザー車検に挑戦してみてください。

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